平成29年8月31日にFIT法(固定価格買取制度)の施行規則と告示が改正されました。公式サイトによると、今回の変更には[過積載を管理するため]という事を目的としていると見えてきます。
今後の太陽光発電は、過積載設計はまだまだ増えるだろうと思われます。また過去に設置された太陽光発電の中で[ノラ増設]による過積載が行われているという問題を受けての事と推測されます。
[ノラ増設とは?]
正規の方法で発電所連携まで行ったのち、無届で余った土地に設備を増設する事。
パワコンの台数を変更すると、電力会社に異変を察知されてしまう可能性が高いので、台数変更には触れずにパネルの枚数のみ増量していく事が多いと言われています。
そこで[過積載を管理するため]の規則・告示が改正となりました。
政府が公表する事業計画情報に、パネル出力が追加されました。
→20kW未満を除く太陽光発電設備の事業計画認定情報を広く一般に公表する事。
つまり申請電力容量と自発電量で大きな差がある発電所は、電力会社でも察知することが可能となり、電力会社や電気保安協会の職員が、申請内容と実際の現場を見て確認可能な措置ではないかと思われます。
1. 政府の公表する事業計画情報に、太陽電池の合計出力が追加(施行規則第7条関連)
公表情報にはパワコン出力容量のみの項目しかなかったが、パネル容量も追加されました。
その事により過積載の有無が見て分かるようになったという事になります。
全量売電を行うのなら多くの電力を電力会社へ送りたいと思うので、パワコン容量ギリギリまで発電する設計が理想とされ、過積載が一般的ではない頃は多くの設計がパワコン容量の上限ラインとしてパネル枚数を計算するので、パワコンより少しだけパネル容量がはみ出るくらいがベストとされてきました。
設備認定では、パワコン容量を認定数値とする事が大半だった為、パネル容量は申請内容の中でもそれほど重要視されていなかったので、認定数値ではない出力の変更は容易に行われていました。
しかし過積載の管理が必要となると、パワコン容量・パネル容量を把握しておく必要があり、パネル出力容量の重要性が増してきたのです。
2. 変更手続きがかわります。
1)太陽電池の合計出力の変更手続き
改正前の[変更届]が[変更認定申請]に。(施行規則第9条第11項)
公表している信憑性を守る為に、簡単には変更できない手続きへする必要が出てきました。
改正前のパネル出力は届け出のみで可能だったものを、改正後は変更内容を審査し、認定するかしないかが必要になります。
ですが、申請業務を行う者の手間が増えただけになってしまう為、申請者にも簡単に変更しようと思えないような措置文もあり、変更申請数自体減ると思われます。
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太陽電池の合計出力を3%または3kW以上増加させる場合、もしくは20%以上減少させる場合は、調達価格が変更認定時の価格に変更されます。(告示第2条第7項関連)
認定を取得してしまうと[増やす][減らす]が一定数以上だと、売電単価が最新のものに変更されてしまうので、過去の高売電単価をお持ちの方が前の通常設計から過積載設計に変更して増利益で事業を始めるという方法が取れなくなりました。
過去案件の変更手続きを減少させる為と、今後ノラ増設による過積載の摘発を実施するにあたり追及を逃れることへの対処と思われます。
2)電力会社との間の接続契約内の主要事項が変更される。契約が再締結された場合、価格変更有の変更認定申請が必要。(施行規則第9条第10項、告示第2条第6項・7項関連)
ノラ増設摘発を実施した際、設計に誤りがあったと電力会社へ相談、現場合意をしないように電力連携の費用見直し・接続契約再締結があった場合の対処と思われます。
つまり出力抑制に合意しない場合のペナルティのような意味も含まれています。
3)新規の認定申請様式・変更認定申請様式・事前/事後変更届出様式変更
手続きの際、書類・WEB入力の内容にも変更になりました。現在9/1以前の様式では、申請が一切受け付けてもらえません。