◎太陽光発電には固定資産税の一つ、“償却資産税”がかかります◎
太陽光発電は、事業資産とみなされますので固定資産税の課税対象となります。
固定資産税というと、土地に対する税金だと思われると思いますが、太陽光発電の場合は設備に対しても税金が掛かります。
これを償却資産税といい、償却資産税も固定資産税の一種です。
太陽光発電には、様々な設備が必要ですが、これらの設備の1つずつに償却資産税は課せられます。
太陽光発電所の償却資産税課税期間は17年間ですので、17年掛けて償却していく事になります。
◎太陽光の償却資産税には特例措置、ただし改正でFIT太陽光は除外に◎
太陽光発電所など、再生可能エネルギー発電設備の償却資産税には、特例措置があります。
その特例措置とは、“課税期間17年間のうち、初めの3年間の償却資産税太陽標準額を2/3に引き下げる”というもの。
制度は2年毎に見直されており、現在では大きく変わっている点がいくつかあるので、詳しく解説していきましょう。
◇課税標準の特例措置の歴史◇
平成24年からスタートしたこの特例措置ですが、これまではFIT制度の適応を受ける産業用太陽光発電所はすべて特例措置の対象となっていました。
しかし平成30年1月現在、この特例措置を受けられるのは、自家消費型などFIT制度の適応を受けていない発電所のみとなってしまったのです。
されに来年度からは追加で見直しが掛けられております。
固定資産税の特例に関する記事をまとめてみました。
*平成24年度~25年度末
[再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置]開始
*平成26年度~27年度末
特例措置の2年間の延長が決定
内容に大きな変更なし
*平成28年度~29年度末
特例措置の2年間の延長が決定
固定価格買取制度(FIT制度)の適応を受ける太陽光発電を適用から外す
環境省の補助金を受けた設備(自家消費型太陽光発電設備)のみを対象とする
(「再生可能エネルギー事業者支援事業費補助金」を受けて取得したもの。この補助金
は終了)
*平成30年度~31年度末
特例措置の2年間延長が決定
FIT制度の太陽光発電所は対象から外れたまま(自家消費型のみ)
1メガ以上の太陽光発電施設は軽減率を3/4に引き上げ
◎軽減率は自治体によるのか?「わが町特例」にも注目◎
ここまではエネルギー庁の制度として紹介しましたが、実は「地域決定型地方税特例措置(通称:わが町特例)」という制度により、各自治体が自治体の情勢や政策に合わせて、特例措置の軽減率を、プラスorマイナス1/6まで調整する事が可能です。
軽減率が2/3の1メガ以下の場合⇒マイナス1/6[2/3-1/6=1/2]
プラス1/6[5/6]となり税金が高くなる。
つまり全体の制度として固定資産税の特例措置に関する条件は設定されているのですが、最終的には自治体の制度により軽減率は左右されてきますので、必ず自治体への確認は忘れず行いましょう。
◎中小企業等経営強化法なら、FIT太陽光がOKな制度も◎
この他にも覚えておきたいのが、中小企業等経営強化法です。
本制度による税制優遇制度のうち以下の2つについては、一定条件のもと太陽光発電設備に税制優遇が適用されます。
1) 中小企業等経営強化税制
一定条件をクリアした中小企業が自家消費型の太陽光発電を行う場合、2017年度より開始している「中小企業等経営強化税制」の制度を利用する事が可能であり、この制度を利用すれば“100%即時償却が可能”となります。
2) 固定資産税の特例
この税制措置であれば、FIT認定を受けている太陽光発電も適用されるケースがあります。
こちらは一定条件をクリアした中小事業者等が太陽光発電を行う場合、固定資産税が3年間にわたって1/2に軽減されるというものです。
◎FITでも各種税制優遇が受けられケースも◎
実はFIT認定を受けている太陽光発電所でも、場合によっては各種優遇制度を受けられる事があります。
◇再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置が適用されるケース
FIT認定を受ける設備であっても、適用されるケースがあります。
大前提として、電気事業者は適用外です。
対象となるのは、個人事業主を含む中小企業で、太陽光発電以外の事業をやっている方となります。(例:資材置き場、廃材置き場、農業、小売りなど)
太陽光発電事業をその事業の一部として行っていて青色申告をしている場合に限り、固定資産税の特例措置を受けられる事があります。
ただし経営実績と売り上げがなければならないなど、それなりにハードルは高いです。
◇「中小企業等経営強化税制」即時償却・税額控除の適用がされるケース
こちらは余剰売電であれば、適用されるケースがあります。
こちらも大前提として電気事業者は本制度の適用外となりますが、事業内容が指定事業に該当している場合、発電した電気の一部を指定事業に使用していれば(余剰売電)、対象となるケースがあります。
◎平成30年度からは、3年間「固定資産税がゼロ」になる可能性も◎
さらに政府は、平成30年度の税制改正で「中小企業が購入した新しい機械にかかる固定資産税を32年度までの3年間に限ってゼロにする」という方針を示しているなど、今度の動きにも目が離せません。
非常に複雑なので事業主様がご自身で判断するのは、難しい事があります。しかし面倒だからと手続きをせずに得られるはずの「お得」を逃してしまっては、損をしてしまいます。
不明点ありましたら、お問合せ下さい。